メアリィ・スー
幻想郷の住人達は今日も楽しく過ごしていました!
それは何故かって?
幻想郷の創造神の1人、黄泉月リィが居るからです!
黄泉月リィは全てを操る力を持っていました!
彼女は幻想郷で起こったどんな異変も1人ですぐに解決してみせました。
彼女に弾幕勝負で敵う者は誰1人居ませんでした。
楽園の素敵な巫女も、境界の妖怪も、彼女の強さの前には無力でした。
ある日、黄泉月リィは言いました。
「あーあ、この世界にも飽きてきちゃった。」
彼女は自分が、本来ならこの世界に居るべきではない存在・・・
メアリー・スーだという事を理解していました。
けれど彼女はこの世界を楽しんでいました!
しかし、それも長くは続きませんでした。
黄泉月リィはこの世界を離れ、別の世界へ行く事を決めました。
「さーて、次は何処に行こうかなー?」
全てを操る彼女は、別の世界の様子を見る事も容易でした。
そして彼女は、とある世界を見ると同時にぱあっと目を輝かせました。
遂に自分が次に行きたい世界を見つけたのです!
「此処だ、此処にしよう!」
彼女は早速能力を使い、その世界に行きました。
その世界できっと、彼女は‘目’の能力を手に入れるのでしょう。
創造神は幻想郷から居なくなりました。
彼女は最後に、自らが元々持っていた力でこの世界に魔法をかけました。
普通の魔法使いも、永遠と須臾の罪人も、かつての創造神の事を忘れ去りました。
濃霧の吸血鬼はふと思いました。
「あの時私が起こした異変は誰が解決したんだったかしら?」
空想上の人格保持者は無意識に言いました。
「大人の人で、私を見つけてくれた人が居た気がする。誰だっけ?」
その疑問は、これからも永遠に解消される事は無いのでしょう。
黄泉月リィが、創造神としてこの世界に戻ってこない限り。
黄泉月リィが、かつて存在していた世界で。
1人だけ、彼女の事を覚えている女の子が居ました。
「・・・リィ。何処に、居るの?」
彼女は、黄泉月リィの姉でした。