幕間
「ヴィオラ」
「はいはい!どうしたの、ミヤちゃん?」
「新しく入った1年生の子の事で少し話があるんだけど、いいかな?」
「いいよ!」
詩乃薔薇中学校の吹奏楽部は、今日もいつも通りに活動していた。
そんな中、BASSパートに所属している2年生の彼女・・・
蒼月ミヤは、最近入部したとある1年生を気に掛けていた。
別に彼女の直属の後輩という訳ではない。
だが、ミヤは恐らく、この部活で1番その後輩の事を怪しんでいた。
そして最終的に、同じ2年生で最も信頼のおける友人であるヴィオラ・カルデローネに相談する事にした。
一応イタリア人だが、日本生まれ日本育ちの上何でか黒髪なのでほぼほぼ日本人と変わらない。
また学校では偽名を使っている為(勿論学校の許可は得ている)、他の部員達は全員彼女が日本人だと思っている。
因みに偽名を使っているのはミヤも同じである。
ミヤもヴィオラも仕事の立場上、正体がバレる訳にはいかないのだ。
そんなヴィオラはミヤが怪しんでいる後輩の直属の先輩である。
そんな訳で人目の付かない場所に移動した2人。
「それで、新しく入った1年生の子って誰?」
「君の直属の後輩・・・ノア、だっけ。」
「ああ、あの子ね。あの子がどうしたの?」
「いや、何か・・・簡単に言うと、あの子はこの世界の人間ではない気がするんだ。」
ミヤがそう言うと、ヴィオラは驚きの表情を見せた。
当然だろう、自分にやっと後輩が出来て喜んでいたところにその後輩が異世界人であるかもしれないなんて言われたら誰でも驚く。
「まだ確定はしていないんだけどね・・・何となく、解るんだよ。あの子の纏っている‘気’は・・・この世界の物ではないって。」
「・・・ミヤちゃんが言うなら、そうなのかな。」
「ただ、もう少し調査を続けた方がいいと思うんだ。もしかしたらちゃんとしたこの世界の住人かもしれないし」
「解った。こっちでも調べてみるよ。」
2人はお互いに頷き合うと、部室に戻った。
「っくしゅん!」
「どうしたの、ノアちゃん?」
「いや、誰かに噂されてるような気がするんだ。不確定だけど・・・」
「へ~・・・」
「ところで、ユラ。」
「はい?」
「ユラって、小学校の時から凄い情報収集能力を持ってたでしょ?」
「え?うん、皆からはそれで頼りにされてたけど・・・それがどうしたの?」
「部活終わったら、話したい事があるんだ。時間ある?」
「うん、あるよ。」
「・・・ならいいの。」
ノア・リッジウェイは、妖しげに笑った。